こんにちは! パドルです
今日は最近読んだ小説「クローズドサスペンスヘブン」を紹介します
五条紀夫による小説で、設定が斬新なミステリーとして話題になっていました
ミステリーではよく嵐の中の洋館など、陸の孤島が舞台になります
このように外部と遮断されている状況で、登場人物の中に必ず犯人がいる状況を
「クローズドサークル」
と言います
この小説はクローズドサークルをとても斬新な方法で設定しています
舞台は天国にある館です
つまり、登場人物は全員死んでいます
しかし自分に関する記憶はほとんど失っており、誰に殺されたのかわかりません
この状況の中で、自分たちを殺した犯人を捜していきます
こんな人におすすめ
「クローズドサスペンスヘブン」はこんな人におすすめです
- 今までにない設定のミステリーが読みたい
- そこまで重くない雰囲気が好き
- クローズドサークルが好き
あらすじ
簡単にあらすじを紹介します
主人公はヒゲオ(もちろんあだ名)
目が覚めると、ヒゲオは浜辺に横たわっていました
自分がなぜそのような状態になっているかわからず、自分のこともほとんど思い出せません
どうやら自分は殺されたらしいという、おぼろげな記憶だけはあります
ヒゲオはとりあえず周囲を散策してみることにしました
少し歩くと英国式の館を見つけました
館に入ると、ヒゲオの他に5人現れました
その5人もヒゲオと同じように自分のことが思い出せないようでしたが、誰かに殺されたという記憶はあるようです
自分のことを思い出せない彼らはあだ名で呼び合っていて、「ヒゲオ」というあだ名はそのとき付けられました
周囲の人たちの話を聞くと、どうやらこの館は
「望みを叶える世界」
だそうで、抜け出すためには望みを叶える必要があるそうです
「望みって何だろう…?」
と首をかしげるヒゲオでしたが、ある人物が
「自分たちが殺された事件の真相を明らかにすることじゃないか?」
と言い始めます
たしかにここに集まったメンバーの共通点はとある事件で殺されたことだったので、彼らはその謎を解き明かそうと協力します
真実を突き止める過程で、彼らは自分たちが何者で、現実世界で何があったのかを思い出していきます
果たして、彼らはこの世界から抜け出せるのでしょうか?
ネタバレあり感想
ここからはネタバレありで感想を書いていきます
「クローズドサスペンスヘブン」未読の方はご注意ください
独特の設定
この作品はとにもかくにも設定が独特です
登場人物が全員死亡していること、館で流れる1日が現世の1時間であること、館の備品倉庫には念じれば色んなものを取り寄せられることなど…
物語中にどんどん新たな設定が出てきます
そして、この独特の設定を活かして謎解きがされます
ポイントとなるのは、登場人物が館に現れた順番です
こちらは現実世界で遺体が発見された順番なのですが、一つおかしなことがあります
現実世界で最初に発見された遺体は男性のものなのですが、館に最初に登場したのは女性でした(その人のあだ名はメイド)
その謎を解くためには、もう一つ独特の設定を踏まえる必要があります
それは、
「館に登場する姿は現実世界の自分が望んだ姿になる」
というものです
つまり、メイドは現実世界ではトランスジェンダーの男性で、願望によって女性の姿になったのでした
ここでも館が
「望みを叶える世界」
という設定が活きていきます
このように、「クローズドサスペンスヘブン」特有のファンタジー要素を絡めて謎解きがされるので、普通のミステリーに飽きた方には面白く読めると思います
ユーモア満載のセリフ回し
この小説の個人的なお気に入りポイントの一つに、ユーモア満載のセリフ回しがあります
登場人物が終始コントをしているような会話が展開されるため、殺人事件の真相を解明しているはずなのに重い展開になりません
主人公のヒゲオが常に一言多かったり、ヤクザという登場人物が実は臆病だったり、コックという登場人物が料理下手だったりと、各キャラクターの個性も強めです
特にヒゲオに関しては、終始ふざけているのでは?、とも思える語り口です
彼が探偵役をするのですが、何回か推理を外します
そのたびに他の登場人物から非難混じりのツッコミをされ、しまいには犯人ではないかと疑われてしまう場面も出てきます
彼は最終的には犯人を当てることには成功しますが、動機の解明まではできませんでした
もっとも、動機はかなりサイコパスなものだったので、当たらなくて当然だと思いますが
こんなふざけていて、かつ完全には事件を解き明かせなかった探偵しかいないにも関わらず、物語はきれいに終わるのだから不思議です
まとめ
今日は小説「クローズドサスペンスヘブン」を紹介しました
登場人物が全員死亡しているという独特の設定のミステリーで、普通のミステリーに飽きた方におすすめです
セリフ回しに常にユーモアがあるので、重い展開が苦手な方も楽しんで読めると思います
機会があれば読んでみてください
今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
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