【何気ないセリフで明かされる衝撃の真実】小説「十角館の殺人」紹介【伏線回収ミステリー】

小説

こんにちは! パドルです

今日は最近読んだ小説「十角館の殺人」を紹介します

こちらミステリーの名作として知られており、「そして誰もいなくなった」の日本版といった雰囲気の物語です

個人的には「そして誰もいなくなった」より面白かったです

同じ大学のミステリー研究会の男女7人がとある島の十角館に訪れ、一人ずつ死に追いやられるというストーリーです

また、島に行かないサークルのメンバーやOBもいて、そちらサイドの話も展開されます

ちなみにこの小説が刊行されたのは1986年ですので、携帯電話は存在しない時代です

物語の真相がある人物の一言で明らかになるのですが、そのセリフがとても印象的です

何気ない一言に読者が衝撃を受ける事実を含ませていて、とてもおしゃれに感じました

しかし、そのセリフを聞いても最初は

「え…??」

となるばかりで、事件の裏で何が起こっていたのかをすぐに理解することができませんでした

こんな人におすすめ

「十角館の殺人」はこんな人におすすめです

  • ミステリーが好き
  • 予想を裏切る展開がある作品を求めている
  • 「そして誰もいなくなった」を読んだことがある

一つ目、二つ目のポイントは冒頭にも書いていますが、終盤のとある1行には衝撃を受けること間違いなしです

ミスリードも見事で、ほとんどの方は騙されてしまうのではないでしょうか

また、「十角館の殺人」の登場人物はミステリー研究会に属していることもあり、それぞれのメンバーには海外推理小説家のあだ名がつけられています

海外ミステリー好きの方はより楽しめると思います

三つ目のポイントは、この小説は「そして誰もいなくなった」に似た設定を用いているからです

「そして誰もいなくなった」も孤島の館に招待された10人が次々と亡くなっていくというストーリーで、ミステリーの世界的名作です

「そして誰もいなくなった」の物語を知っていると、ある程度展開の予想もつけられます

しかし、その予想を裏切ってくれる真相が待っています

あらすじ

ここからは、「十角館の殺人」のあらすじを紹介します

とある大学のミステリー研究会のメンバーたちが、角島という孤島に合宿に行きます

そのメンバーたちはサークルの慣習でお互いを海外推理作家の名で呼び合っていました

アガサ、ポウ、エラリイ、ヴァンなどです

彼らが角島に来た理由は、その島にある十角館を訪れるためでした

十角館では半年前に痛ましい事件が発生していました

館主の中村青司と妻、使用人夫婦の4人が亡くなり、館にいた庭師が行方不明になっていたのです

そのような事件があった現場はミステリー研究会の大好物ですので、今回の合宿が企画されたのでした

彼らが十角館を訪れて数日後、事件が起こります

メンバーの一人が何者かに命を奪われてしまったのです

その死体は左手首を切り取られており、それは中村青司の事件のときと同じような処理でした

サークルのメンバーたちは互いに疑心暗鬼になります

その後も犯行は続き、一人また一人と減っていくなか、少しずつ真実が明らかになっていきます

これが「十角館の殺人」のあらすじです

ネタバレなし魅力紹介

ここからは、「十角館の殺人」の魅力をネタバレなしで紹介します

島と本土で展開されるストーリー

事件は島で発生するのですが、本土にいる登場人物のストーリーも展開されます

最初はこの二つがどのように関係してくるのか全くわかりませんでしたが、終盤に二つのストーリーが存在する理由が示されます

その理由がわかった瞬間は脱帽です

「この結末のためにあの設定があったのか…!」

と驚かされます

島と本土それぞれに探偵役がいて、事件に関して異なる解釈をするのですが、どちらが真実なのか考えながら読んでいくととても面白いです

また、物語の中で重要なのが「中村青司」という存在です

中村青司は物語の始まる半年ほど前に亡くなっているとされているのですが、江南や守須のもとには中村青司の名で怪文書が送られてきます

十角館にいるミステリー研究会のメンバーも、犠牲者が出るたびに実は中村青司が生きているのではないかと思い始めます

中村青司の存在が、物語をより面白くしています

1980年代の時代背景

これは物語の本筋とは関係ないのですが、個人的には小説を読むことで時代背景を知ることができるのが面白いです

「十角館の殺人」は1986年に発表され、主な登場人物は大学生です

作中の登場人物はタバコをよく吸います

今では健康に害があることがはっきりわかっているため、学生でタバコを吸う人は珍しいです

また、コーヒーを淹れ、食事を作るのは女子学生がやっていて、それに誰も違和感を覚えていません

男性の登場人物がコーヒーを飲みたくなったら、わざわざ女性に頼んで淹れてもらっています

「自分で淹れるほうが早いのでは…?」

と、現代に生きる私はそう思ってしまいます

このように時代を感じながら読んでいくのも一つの楽しみ方だと思います

ネタバレあり感想

ここからはネタバレありで感想を書いていきます

「十角館の殺人」未読の方はご注意ください

事件の黒幕

事件の黒幕はヴァンこと守須恭一でした

彼が十角館に集った6人を死に追いやったのです

この事実は第十章の最後の一行で明かされます

それは守須が自分のあだ名を

「ヴァン・ダインです」

と刑事に教えることで判明します

自分のあだ名を紹介するという、日常でもたまにあるセリフが事件の真実をほのめかすという演出に、とても感心しました

物語内のその場にいた登場人物たちには

「ふーん」

で終わるセリフですが、読者にとっては衝撃を与えます

そのギャップがまた面白いです

また、著者がこれは狙っていると思うのですが、「十角館の殺人」の真相を第十章の最後に明かすという構成も好きです

その後の二章分は守須がどうやって犯行を重ねていたのかが描かれます

読者にとってはありがたい解説です

私も第十章のセリフだけでは頭が混乱したままでしたので、最後まで読んでようやく納得することができました

「そして誰もいなくなった」のオマージュ

物語中に守須のことを追い詰める人は存在しません

ミステリー研究会のOBである島田は守須が犯人ではないかと気づくのですが、証拠は何も残っていません

しかし、守須は犯行について詳細を記したメモを事件前に壜に詰めて海に流していました

物語のラストではたまたま流れ着いたその壜を守須自身が拾い上げ、近くにいる子供にそれを島田に渡すようにお願いします

壜を流すシーンはプロローグに、壜を回収するシーンはエピローグに描かれています

守須は、自分の恋人を死に追いやった6人に復讐するために今回の事件を引き起こしました

それは法では裁けない犯罪を自ら裁くというものです

「そして誰もいなくなった」でも黒幕は法では裁けない人たちを集めて自ら裁いていました

また、その犯行を告白した文書を壜につめて流すというのも共通しています

「そして誰もいなくなった」を読んでいると楽しめるポイントですね

個人的には壜を流さなければ完全犯罪が成立していたのに惜しいことをしたな、と少し残念でしたが

守須は誰かに裁かれたかったのかもしれません

まとめ

今日は小説「十角館の殺人」を紹介しました

個人的には「そして誰もいなくなった」をアップグレードした作品だと思っています

ミステリーが好きで、どんでん返しのある衝撃的な展開をお望みの方におすすめできる作品です

あなたも終盤の何気ない一言に度肝抜かれるはずです

機会があれば読んでみてください!

今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!

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