【SNSを駆使する現代的なミステリー】「自由研究には向かない殺人」感想

小説

こんにちは! パドルです

今日は最近読んだ小説「自由研究には向かない殺人」を紹介します

この小説は2022年本屋大賞の翻訳小説部門第2位に輝いた作品です

イギリスのリトル・キルトンという田舎町に住む女子高生のピッパが、5年前に起きた女子高生の失踪事件について調べていく、という物語です

ピッパは自由研究の題材として失踪事件の真実を調べており、SNSやインタビューなど、私たちに身近なツールを使って調査を進めます

失踪事件ともなると警察のような専門機関が関わらないと解決できないイメージがありますが、この物語を読むと身近な手段と根気があれば、真実を見つけ出すこともできるんだなと思わされます

ピッパの自由研究の記録も物語が進むごとにアップデートされていきます

ピッパがさまざまな仮説を立てながら情報を集め、真実に近づいていく描写は、まるで自分もその調査に参加しているようなリアルさがあってとても面白いです

こんな人におすすめ

「自由研究には向かない殺人」はこんな人におすすめです

  • リアル感のあるミステリーが好き
  • 学生が活躍する物語が好き
  • イギリスの高校生のスクールライフについて知りたい

一つ目と二つ目は「魅力紹介」のところで解説します

三つ目はこの物語がイギリスの高校生が抱える問題をリアルに描写しているためです

事件の真実が徐々に明らかになるにつれて、スクールライフの闇の部分も描かれます

主人公が女子高生というだけあって、そのあたりにもとても臨場感があります

あらすじ

あらすじを簡単に紹介します

主人公のピッパは、自分の住む町で5年前に起きた未解決の失踪事件を自由研究のテーマにします

ピッピは、事件の被害者となった生徒(アンディ)と同じ高校に通っており、事件に強い興味を持っていました

ピッパは事件当時の報道記事や公表資料などを読み、事件のことを語れる人物を探し始めます

しかし、ピッパの調査によって揺さぶられてしまう人も出てきて、調査をやめるよう脅迫されることもありました

ピッピは危険と隣合わせになりながらも、事件の真実を探し続けます

途中ピッパにはラヴィという協力者を得ます

ラヴィはサルという、事件の犯人とされている人物の実の弟です

二人が様々な人にアプローチすることで、次第に真実が明らかになっていきます

ネタバレなし魅力紹介

ここからは、「自由研究には向かない殺人」の魅力をネタバレなしで紹介します

リアル感のある物語

この物語の主人公は女子高校生のピッパです

彼女は5年前の失踪事件について自分なりの見解を持っています

自殺してしまった容疑者のサルが行方不明になったアンディを殺すはずがない、というものです

幼い頃からサルのことを知っているピッパにはどうしてもサルがそのような凶行に及ぶとは考えられません

そこで事件の真実を知るためにピッパが取った手段が、

「失踪事件の調査を自由研究にしてしまうこと」

でした

女子高生のピッパが取れる主な手段はSNSとインタビューです

この現代的な手段をフル活用して真相に迫るピッパの様子を見ていると、

「自分にも身の回りの隠された真実を見つけ出せるかも!」

という気にさせられます

特に、とある写真を見てピッパは真実に大きく近づくのですが、その写真も特別なものが写っているというわけではありませんでした

ものの見方を変えることで、隠された真実を見つけることができるということを教えてくれます

また、ピッパはどちらかというと思い込みの激しいタイプで、真実を見つけ出せたのもその思い込みがたまたま当たっていたからに過ぎない部分は多いです

しかし、仮説を立て、さまざまな情報を集め、事実をもとに仮説を修正していく、というピッパの姿勢はとても参考になります

犯人がわかった後の展開

終盤、ピッパが事件の犯人を明らかにするシーンがあるのですが、物語はそこで終わりません

犯人の告白だけでは、失踪事件にともなって発生したすべての事実は説明できなかったのです

そこから物語の真相が明らかになるまでの展開は、とても手に汗握ります

「まさか、あの人が!?」

と思うこと間違いなしです

最後の真実が明らかになるタイミングで、今まで何気ない描写として示されていた部分が実は伏線であったことも明らかになります

思いもよらないところにヒントが隠されていたことがわかって、

「なるほどなー!」

と感心します

ネタバレあり感想

ここからはネタバレありで感想を書いていきます

「自由研究に向かない殺人」未読の方はご注意ください

アンディとサルについて

失踪してしまったアンディは最初、とても人気で非の打ちどころがない女子高生として描かれていました

しかし、ピッパが調査を進めるにつれてアンディの闇の部分が明かされます

アンディは同級生向けに薬を売っており、妻子持ちの教師と関係を持って脅迫もしていました

薬を売ったことが間接的にアンディを死に追いやることになります

また、逆にサルは最初アンディを殺害した人物として世間では認識されていました

サルがやっていないと信じていたのはサルの弟のラヴィだけでした

ピッパも最初はどちらかわからないという立場でした

最終的にサルはとても善良で清廉潔白であることが明らかになります

もちろん無実です

世間が思っていたアンディとサルのイメージが最後には逆転しまうことも、この物語の面白さだと思います

このことを踏まえると、普段私たちが見ているもの、信じているものは果たして真実なのか、ということも考えさせられます

自分が思い込みにとらわれているかもしれないことを、ときどき考える必要があると感じました

調査方法の新しさ

「自由研究には向かない殺人」の最大の魅力は、ピッパが現代的なツールを使って真実を見つけることにあると思います

SNSやインタビューがメインツールとなっており、デジタルデバイスが普及した現代に特有の手段で情報を集めます

また、デジタルデバイスだからできる嘘(なりすましなど)を使って情報を得ることもあり、

「たしかにこの方法ならあり得るし、わからないよなー」

と思わされます

SNSが普及したからこそ成り立っているとても現代的なミステリーです

同時に、自分が持っているデジタルデバイスのセキュリティはちゃんとしておかないとな、という教訓も得ました

まとめ

今日は小説「自由研究には向かない殺人」を紹介しました

何度も書いていますが、女子高生が主人公で、SNSやデジタルデバイスを駆使して真相を見つける物語です

とても現代的ですし、身近なツールを使ってこのようなミステリーを成立させていることに新しさを感じます

機会があればご一読ください

今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!

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