【学園コメディミステリ】小説「君に読ませたいミステリがあるんだ」紹介

小説

こんにちは!

今日は最近読んだ小説「君に読ませたいミステリがあるんだ」を紹介します

東川篤哉による作品です

作者の代表作には「謎解きはディナーの後で」があります

こちらはドラマ化・映画化されている有名な作品ですね

「君に読ませたいミステリがあるんだ」は、鯉ヶ窪学園という高校に通う男子高校生の「僕」が、先輩である女子高校生の水崎アンナにひたすら自作のミステリを読まされる、という物語です

五つの短編から構成されていて、最終章には読者を驚かすちょっとした仕掛けがあります

ミステリといってもアンナが書いている小説の中で事件が起こるだけなので、物語中も、物語の中に出てくる小説の中でも、終始コメディのようなやり取りが展開されます

主人公とアンナの会話はツッコミどころ満載です

こんな人におすすめ

「君に読ませたいミステリがあるんだ」はこんな人におすすめです

  • コメディタッチの作品が好き
  • 細かいところはそんなに気にならない性格だ
  • 軽く読める作品が好き

あらすじ

あらすじを簡単に紹介します

舞台は東京国分寺にある鯉ヶ窪学園高校

新入生の僕は新しくどの部活に入るか悩んでいました

そんなときに「文芸部」の勧誘チラシをもらいました

チラシに書かれた場所に行ってみると、校舎の外れにひっそりと立つプレハブ小屋を見つけました

そこには「文芸部」と書かれたプレートが

小屋のみすぼらしさに少し引っかかった僕でしたが、部室に入ってみることにしました

入ろうとした瞬間、ものすごい勢いで扉が開かれ、そこから現れたのは黒髪の美人

彼女は三年生で第二文芸部部長の水崎アンナで、僕を歓迎すると多少強引に部室に引き入れます

「『第二』文芸部…? たしかここは文芸部のはずでは…?」

そう思った僕でしたが、アンナの勢いに押されて話を聞くことになりました

アンナによると、第二文芸部は実戦的創作集団だそうで、小説の執筆活動をしているそうです

しかし部員はアンナ一人のようで、活況とは言えない状態です

部の説明を一通り終えると、アンナは自作の小説を机の引き出しから取り出します

これを僕に読めというのです

どうやらその小説は鯉ヶ窪学園で起きた事件を、水崎アンナを五割増しで容姿端麗、頭脳明晰にした「水咲アンナ」が解決するミステリ小説のようでした

小説はちゃんとミステリしてましたが、動機があいまいだったり、登場人物の行動が不可解だったりと多少のツッコミどころがありました

僕が第二文芸部に入部することはありませんでしたが、その後も事あるごとにアンナは〇〇にミステリ小説を読ませます

どうやら季節のイベントごとにそれに合ったミステリを書いているようです

しかし、最後の小説の途中に不可解な事態が発生します

果たして、アンナがどんな仕掛けを施したのでしょうか?

そして、アンナが僕に小説を読ませる目的とは…?

ネタバレあり感想

ここからはネタバレありで感想を書いていきます

未読の方はご注意ください

アンナが仕掛けた罠

「君に読ませたいミステリがあるんだ」は、アンナが僕に季節に合ったミステリ小説を5本読ませるという構成になっています

しかし、最後の小説の途中にあり得ない事態が発生します

第一作で殺されたはずの被害者が、第五作で生きている状態で登場するのです

アンナには割と適当なところがあるので、最初僕はアンナのミスではないかと思っていたのですが、アンナによるとミスではないとのこと

実は、今まで読んでいた小説は、時系列が順番に過去に遡っていたことが明らかになります

つまり、最初桜の季節で4月の出来事だと思っていた作品が、本当は年度末の3月を舞台にした作品だったのです

言われてみれば、小説内のどこにも「〇月」のように具体的な時期を特定できる描写はありませんでした

小説には体育祭のエピソードも登場するのですが、体育祭は5月にやる学校もあれば、10月にやる学校もあります

これらの学校行事のずれを上手く利用して、アンナは僕に小説内の時系列が正しい順番に流れていると錯覚させたのです

タネを明かされればただ時系列が逆転しているだけなので、仕掛けとしては大したことはありません

途中で気づいてもよさそうなくらいです

しかし私は気づきませんでした

なんで気づかなかったんだろう…?と考えたときに、この小説特有雰囲気がそうさせているのでは、と思い当たりました

「君に読ませたいミステリがあるんだ」は、ミステリではありますが、全体的にコメディ要素が強いです

僕とアンナのやり取りもそうですが、アンナ自作の小説内の登場人物もツッコミどころ満載です

無駄に自己肯定感が高かったり、なぜか他の登場人物に嫌われていたり…

このような物語中のコントのようなふざけた雰囲気が、真面目なタッチで描写されていれば違和感を覚えるような場面にあまり注意を向けなくさせているのかもしれません

単純な仕掛けをコメディ要素によって驚きのあるものとして成立させてしまう、作者は素晴らしいです

まとめ

今日は「君に読ませたいミステリがあるんだ」を紹介しました

学園コメディミステリで、終始コントのような会話が繰り広げられます

ミステリ要素もしっかりしていて、気軽にミステリを楽しみたい人にはおすすめの作品です

機会があれば読んでみてください

今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!

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