こんにちは! パドルです
今回は最近読んだ小説「カササギ殺人事件」を紹介します
この小説はアンソニー・ホロヴィッツによるもので、2019年本屋大賞翻訳部門の第1位です
小説の登場人物が劇中でミステリー小説を読み、劇中で起きた事件の謎を解き明かしていくという構成になっています
日本語版だと上下巻構成になっていますが、上巻はほとんどすべて劇中小説を読むことになります
しかもそれが未完の状態で、劇中小説の作者もつい先日亡くなってしまったという状況です
主人公は未完の小説の謎と、作者が亡くなってしまった謎を解き明かしていくことになります
「カササギ殺人事件」はこんな人におすすめです
- ミステリーが好き
- 読み応えのある作品が好き
- 伏線回収ものが好き
あらすじ
あらすじを簡単に紹介します
主人公は編集者のスーザンで、社長のチャールズとともに小さな出版社で働いています
この出版社の看板はアティカス・ピュントシリーズです
アティカス・ピュントとは名探偵の名前で、ピュントが様々な難事件を解決していく大ヒットシリーズです
作者はアラン・コンウェイ
天才作家ではありますが、性格面では一般的な人よりも多くの欠陥があります
スーザンもアランとは馬が合いませんでした
でもアランの生み出す小説はどれも名作ばかりで、今回の新作である「カササギ殺人事件」の出来も期待されていました
内容はタイトルのとおり、とある田舎町で起きた殺人事件をピュントが解決する、というものです
夢中で小説を読んでいたスーザンですが、読み終わって衝撃を受けます
解決編にいく直前で小説が終わっているのです
アランから最初に原稿を受け取ったチャールズに訊いてみても、はじめからこの状態だったとのことです
スーザンはアランに真意を問いただそうと思いましたが、それはできませんでした
アランが亡くなってしまったからです
警察はアランが自殺したと判断しました
現場に遺書が残っていたこともそれを裏付けています
しかし、スーザンは納得できません
アランは自殺するような人間ではないし、小説が未完のままなのも受け入れられません
そこでスーザンは自分で調べることにしました
やがて劇中小説の結末と、アランの死がリンクしていきます
果たして二つの事件の真相とは…?
ネタバレあり感想
ここからはネタバレありで感想を書いていきます
「カササギ殺人事件」未読の方はご注意ください
劇中小説が未完だった理由
個人的に一番印象的だったことを書きます
「カササギ殺人事件」は劇中小説が未完だったことで、劇中小説の結末と、作者であるアランの死の謎の二つを同時に解いていくことになります
この二つの物語がリンクしていく過程は複雑なのですが、とても読み応えがあります
特に海外の小説はなじみのない名前の登場人物がたくさん出てきて、誰が誰なのか混乱してしまいます
それに加えて地名もなじみがないものですから、
「あれ? これは人名と地名どっちだろ…?」
とわからなくなることもしばしばです
こういった海外小説特有の困難と、一つの小説内で二つの物語が同時に進行していく複雑さが、頭を混乱させていきます
しかも、アランは自分の周囲にいる人々を小説のモデルにしているため、劇中小説のキャラとアランの周囲の人々が微妙に似ています
それもこの物語を難解にしています
しかし、最終的に一つにつながった瞬間はやはり爽快です
また、劇中小説の人物とアランの関係者が微妙に似ていた理由もそこではっきりします
結論から言うと、アランは小説を完結させていました
しかしアランを殺害した犯人が結末部分を抜き取ったのです
なぜ抜き取ったかというと、
「小説の文章をそのまま遺書に流用したから」
です
この事実が明らかになったときに、私は
「だからこんなに二つの物語のキャラが似ていたのか!」
と納得させられました
実はアランは不治の病に侵されていたのですが、劇中小説のピュントも同じ状態でした
ピュントは最終的に服毒自殺をするのですが、そのときにピュントが書いた遺書を、犯人はアランのものとして流用したのでした
だから小説は未完ということにしなければならなかったのです
この仕掛けには感心しました
この事実だけで、自分が今まで登場人物のキャラが似通った複雑な二つの物語を読んできた甲斐があったなと思いました
まとめ
今回は「カササギ殺人事件」を紹介しました
同じ小説内で二つの物語が展開される複雑な構成で、読み応えがあります
複雑ではありますが、その複雑さの理由が最後に明かされる瞬間はとても爽快感があります
読み応えのあるミステリーを求めている方におすすめの作品ですので、機会があれば読んでみてください!
今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
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