こんにちは!
今日は最近読んだ小説の「ミステリー・アリーナ」を紹介します
深水黎一郎による作品です
20XX年の日本、紅白歌合戦に替わる大晦日の国民的番組である「ミステリー・アリーナ」
出題されるミステリーの犯人を当てた人は大金を手にすることができるのですが、問題の難易度が高く今までの賞金は全額キャリーオーバーされています
その額なんと20億円
今年は14人の解答者が賞金を懸けて推理に挑戦します
読んでみて、
「よくみんなそれぞれ違う推理を展開できるな」
と感心してしまいました
出題文に書かれているあらゆる文章から伏線や先の展開を予想し、結論まで持っていくだけでもすごいと思います
しかも、全員が違う答えで、そのどれもが
「たしかにありそうだ」
と納得できる推理なのです
解答者の推理を参考にしながら、物語の真相を予想しながら読むのはとても楽しかったです
こんな人におすすめ
「ミステリー・アリーナ」はこんな人におすすめです
- 犯人あてをしたい
- ミステリーをある程度読んだことがある
- 癖の強いキャラクターが登場する作品が好き
あらすじ
「ミステリー・アリーナ」では現実パートと小説パートが交互に進行していきます
これは、「ミステリー・アリーナ」という番組が、小説のどの時点でも犯人が予想できた段階で解答することが可能、というルールになっているためです
ここでは、問題文である小説パートのあらすじを紹介します
舞台は2000年代初頭の日本
とある大学のミステリー研究会OBOGたちは、毎年同窓会しています
場所はメンバーである鞠子の父が所有している屋敷です
今年もその時期がやってきましたが、あいにくその日はひどい雨が降っていました
同じくメンバーである三郎は車に乗って屋敷にたどり着きました
屋敷には既にほぼすべてのメンバーがそろっているようでした
三郎はラウンジに向かいましたが、そこに鞠子の姿はありません
どうやら自室で何かの準備をしているようです
その後最後の一人である丸茂も到着しました
屋敷に行く道中には白髭橋という橋が架かっており、それを渡らなければ屋敷にはたどりつけません
丸茂は自分が橋を渡ってきたときに橋が浸水し、すんでのところで渡り切ったと話しました
つまり、メンバーたちは屋敷に閉じ込められてしまったのです
しばらく時間が経って鞠子に話があった三郎は、屋敷四階にある鞠子の部屋に行きます
この屋敷は鞠子の趣味が反映されていて、四階に行くには螺旋階段を上る必要があります
螺旋階段を登って鞠子の部屋に入った三郎が目は、鞠子がナイフで背中を刺され、うつ伏せに倒れているのを発見しました…
果たして、鞠子は誰に殺されたのでしょうか?
そして、「ミステリー・アリーナ」の解答者たちは真相を当てられるのでしょうか?
ネタバレあり感想
ここからはネタバレありで感想を書いていきます
小説未読の方はご注意ください
15通りの解答
「ミステリー・アリーナ」では、自分より前の解答者が言った答えと同じ内容の解答は許されません
犯人も違う人物を示す必要があります
ただし、同一人物の別人格、実は性別が違うなどの差は許容されます
その差は許されど、15通りもの解答を用意するのは並大抵のことではありません
解答者たちは真相を推測できた時点で解答するため、ほとんどの解答は小説パートの途中でなされます
それら解答は読者の立場からすると
「ありそうだな」
と思えるものばかりです
大抵の解答は後々新情報が出てきて否定されるのですが、その時点では
「もしかしたらこれが真相かも…」
と思わせてくれます
物語の仕掛けとしては、
「実は解答者が答えるたびにその答えが真相とならないように物語を方向転換させていた」
ため、解答者が正解することはありません
つまり誰も当てられない15番目の正解が用意されているのですが、この正解が意外にもシンプルで面白かったです
簡単に言うと叙述トリックで、物語の語り手の一人である「平三郎」とは別人の「平三郎」が存在し、彼が犯人だったというオチです
ちなみに、二つの名前の読み方は「たいらさぶろう」と「へいざぶろう」です
「へいざぶろう」は殺された鞠子と三郎の息子、という設定です
この真相、最後にいきなり示されるので突然感があるのですが、実は物語中のかしこに伏線が張られていたことが説明されます
その伏線も決して無理があるものではなく、
「この描写はそういう解釈なのか!」
と納得できることばかりでした
物語だけではなく、「ミステリー・アリーナ」という番組のシステムにも伏線が張られていました
例えば、小説パートの最初はナレーション付きでしたが、途中からは解答者個人のペースで物語を楽しんでもらいたいという主旨でナレーションがなくなりました
これには、実は平三郎が二人いるということを隠すという意図があったのです
また、司会者とともにアシスタントもいるのですが、そのアシスタントが海外育ちということで、カンペ全部にルビが振られるシーンがあります
これも実は「たいらさぶろう」と「へいざぶろう」という、読み方が異なる人物が存在する可能性を示す一つの仕掛けだったのです
このように、最後に残った真実に意外にも伏線がしっかり張られていたのは驚きでした
まとめ
今日は小説「ミステリー・アリーナ」を紹介しました
14人の解答者が導き出す解答はどれも真実味があって、いったいどれが正解なのか、とてもワクワクしながら読み進めることができます
しかも正解のオチはかなりシンプルなので、もしかしたら真相にたどり着ける人もいるかもしれません
私はできませんでしたが…
機会があれば読んでみてください 今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
コメント