こんにちは!
今日は最近読んだ小説「陽気なギャングが地球を回す」を紹介します
伊坂幸太郎の作品で、2006年に映画化もされています
4人組の銀行強盗が仕事をして逃走している途中に盗んだ金を強奪され、それを取り戻すための奮闘するストーリーです
ジャンルとしてはクライムサスペンスにあたるのかもしれませんが、各キャラクターが個性的でユーモアに溢れているのと、伊坂幸太郎独特のコメディ感満載のセリフ回しで、とても読みやすい作品になっています
こんな人におすすめ
「陽気なギャングが地球を回す」はこんな人におすすめです
- コメディタッチの作品が好き
- 風変わりなキャラクターが好き
- 伏線回収の爽快感を味わいたい
あらすじ
この物語は、銀行強盗4人の視点が切り替わりながら話が進んでいきます
成瀬、響野、久遠、雪子の4人です
彼らはとある出来事がきっかけで知り合い、銀行強盗の実行を計画します
成瀬、響野、久遠の3人が実行役、雪子が逃走車の運転役です
4人の銀行強盗計画は徹底的に練られています
犯行時間はわずか5分
まず、3人がサングラスに帽子をかぶった状態で入店します
少し怪しまれるかもしれませんが、それだけで止められることはありません
3人が配置に着くと、一発天井に発砲します
ここで大事なのは、警報装置を押させないこと
入口には準備中の貼り紙をしておき、新たに入店させないようにします
銀行全体を掌握したら、響野の演説が始まります
響野は口を開けば常に出まかせを言っているような男で、このような場面にぴったりです
演説には客と行員の目を引き付けておく狙いもあるかもしれませんが、半分は響野の趣味です
演説の間に、成瀬と久遠が銀行の金をバッグに詰める作業を行います
その作業が終わると3人は銀行を出ます
出ていくと同時に雪子が運転する車が入口に着き、3人はそれに乗って逃走…
するはずでした
しかし、逃走の途中で思いがけない事態が発生します
車がT字路に差し掛かったとき、いきなり横から別の車が飛び出してきたのです
ぶつかりそうになった雪子は急ブレーキとハンドルを切り、衝突を避けます
するとぶつかりそうになった車から拳銃を持った男たちが現れました
彼らは銃を使って4人を脅し、車と金を奪って去っていきました
突然の展開に4人は驚いた様子でしたが、雪子はなぜか後ろめたそうにしていました
拳銃を持った男たちと対峙した際、久遠は一人の財布を奪うことに成功していました
これを手掛かりにして、奪われた金を取り戻そうと彼らは画策します
果たして、彼らは金を取り戻せるのでしょうか
ネタバレあり感想
ここからはネタバレありで感想を書いていきます
未読の方はご注意ください
終盤での伏線回収祭り
伊坂幸太郎と言えば伏線回収の名手として知られていますが、この作品も御多分に漏れず伏線回収祭りです
特に最終盤の銀行強盗のシーンは物語中に触れられた要素をこれでもかと詰め込んできます
成瀬たちは銀行強盗が失敗に終わったあと、なぜ自分たちが失敗したのかを突き止めます
雪子が元夫に同情して手を貸したのが原因ですが、元夫の仲間から、協力しないと息子がどうなるかわからないと脅されていたことも要素としてあります
その経緯を踏まえ、成瀬は雪子の元夫を仲間に引き込むことを提案します
他のメンバーは大反対しますが、成瀬は次の銀行強盗の計画を話し、元夫に連絡用の携帯電話を用意させます
後日、元夫抜きのいつものメンバーで再び集まり、成瀬は本当の強盗計画を明らかにします
元夫には嘘の計画を伝えていたのです
安心して雪子は計画実行の当日を迎えます
決行当日、銀行に成瀬たちを送り届けて車を停めていると、雪子は銃を突き付けられます
「元夫には嘘の計画を伝えていたのになぜ!?」
と雪子は動揺します
その銃を突き付けられた男は元夫のボスにあたる神崎という男で、元夫が用意した携帯電話に盗聴器を仕掛けていたことを明らかにします
銀行にはパトカーが駆け付け、野次馬たちも集まってその様子を見ているようでした
そして、雪子の乗っている車に二人の制服を着た男たちが近づいてきました
男たちに車から降りるよう言われ、雪子は下車します
男たちは神崎にも降りるよう言いましたが、神崎は銃を持っていることがばれないように下車を拒否します
するといきなり男の片方が神崎に向かって発砲します
雪子は驚愕しますが、その銃はモデルガンで、男たちの正体は成瀬と久遠でした
警察官の服を着ていたので、警察だと思い込んでしまったのです
物語の冒頭で、成瀬と久遠が警察官のコスプレを楽しむ男で出会うシーンがあるのですが、そのときにその男から今度制服を貸してやると言われていたのでした
成瀬たちは神崎を車の中に閉じ込めます
この車は、外から鍵をかけると、一定時間中からは絶対開けられない特殊な車だったのです
実はこの車も物語中盤で存在が示唆されていて、この場面で実際に登場します
雪子は怒涛の展開に驚きっぱなしでした
そんな雪子に成瀬が事態の解説をしてくれます
実は雪子にも本当の計画を話していなかったこと、そもそも今回は神崎をはめるのが目的で、銀行強盗はしていないこと、を教えてくれます
パトカーが駆け付け、群衆が集まっていたのは、今日が銀行の防犯訓練の日だったからです
次々と明かされていく仕掛けと、物語冒頭から終盤に至るまでのあらゆるところに張られていた伏線に驚嘆です
この構成力はさすがですね!
一見物語の本筋に関係のない描写も、最終的には大事な要素の昇華してしまう、見事なプロットです
まとめ
今日は小説「陽気なギャングが地球を回す」を紹介しました
銀行強盗が主人公ですが、タイトルどおり陽気な奴らですので、一つ一つの描写がとてもコミカルです
読みやすくてすぐに読めてしまいます
一見ギャグとしか思えない何気ない描写が終盤で活きてくることもあり、見事な伏線回収を体験させてくれます
機会があれば読んでみてください
今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
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