【同じ名前に仕掛けられた伏線】小説「同姓同名」紹介

小説

こんにちは!

今日は最近読んだ小説「同姓同名」を紹介します

下村敦史による作品で、本屋で平積みされていたのが気になって読んでみることにしました

タイトルどおり同姓同名にまつわる物語です

とある「大山正紀」という人物が殺人事件を起こしてしまったことで人生が狂ってしまった、同じく「大山正紀」という名前の人々の苦悩を描いています

名前が同じことが原因で事件を起こした本人と勘違いされてSNSで誹謗中傷されたり、名前が同じだという理由だけで人が離れていったりと、大山正紀たちは散々な目に遭います

取り扱っているテーマは社会性が強いですが、ミステリー要素もあります

一人の大山正紀の提案で同姓同名被害者の会を結成するのですが、実は会のメンバーには諸悪の根源である大山正紀も混じっています

果たして誰がどの大山正紀なのか、それを推理しながら読むのも面白いです

こんな人におすすめ

「同姓同名」はこんな人におすすめです

  • 自分と同姓同名の人を意識したことがある
  • 推理要素のある作品が好き
  • SNSの誹謗中傷コメントにある程度耐性がある

特に3つ目のポイントですが、作中では「大山正紀」に向けられた悪意のあるコメントが頻繁に出てきますので、あくまで小説内の描写だと割り切って読まないと心にダメージを負う人もいると思います

あらすじ

あらすじを簡単に紹介します

6歳の女の子が刃物で数十回刺されて殺害されるという、凄惨な事件が発生しました

犯人は高校生でした

少年法に守られて名前は公表されませんでしたが、とある週刊誌が勝手に犯人の名前を公表します

犯人の名前は「大山正紀(おおやままさのり)」

名前が公表されると、SNSでは自らを正義だと思い込んでいる人たちによって犯人の名前以外の個人情報を特定する動きが活発になります

とある者は住所を特定し、とある者は別のツイッターアカウントを特定して趣味をさらし…

大山正紀への憎悪は膨らむばかりです

ところで、この炎上騒ぎのとばっちりを受けた人たちがいます

彼らも「大山正紀」です

名前が同じというだけで様々な目に遭います

とある大山正紀はサッカー推薦で大学に入学する話がなかったことになり、とある大山正紀はいじめられ、とある大山正紀は内定を取り消されます

すべてが名前のせいとは言い切れませんが、彼らは

「大山正紀さえ事件を起こさなければ…!」

という思いを抱きます

そんなとき、一人の大山正紀が「同姓同名被害者の会」を開くことを思いつきます

大山正紀という名前が原因で辛い目に遭っている人たちと話したいと思ったからです

会には様々な大山正紀が集まりました

話をしていく中で、主催とは別の大山正紀がきっかけとなり、犯人である大山正紀の顔を世間にさらすことが会の目標となります

当時高校生だった大山正紀は名前こそ勝手に公表されましたが、顔はさらされていませんでした

その顔をさらすことで、自分たちは犯人の大山正紀ではないことを世間に知ってもらおうというのです

しかし、活動を続ける過程で驚くべき事実が明らかになります

「会のメンバーに犯人が混じっているかもしれない…」

ネタバレあり感想

ここからはネタバレありで感想を書いていきます

未読の方はご注意ください

色んな「大山正紀」

この小説は色んな大山正紀が登場します

誰が誰だかわからず混乱すること必死なのですが、前提となっているのは全員

大山正紀

であることです

同姓同名を扱っている作品なので当たり前のことを書いているようですが、ここで私が騙された仕掛けが一つあります

それは、「正紀」の読み方です

正紀は「まさのり」と読めますが、「まさき」とも読めます

私もふりがなが無い状態で大山正紀を見たときは、下の名前をどっちで読むかわかりませんでした

物語冒頭で「おおやままさのり」という読み方が示されるので、以降は勝手に

「大山正紀」を「おおやままさのり」と読んでいました

物語の途中、被害者の会のメンバーからとある大山正紀が犯人なのではないかと疑われます

その人物はツイッター投稿が女性蔑視発言だと判断されて炎上した過去があり、別アカウントでも二次元の美少女を好んでいた発言していたことから犯人だと疑われます

しかし、その人物が犯人であるはずがありませんでした

なぜなら、その人物は女性だったからです

名前は「大山正紀」と書きますが、読み方は「おおやままさき」

同姓同名をテーマにした作品だということが、「大山正紀」はすべて「おおやままさのり」と読むという思い込みを発生させていたのです

私も読んでいて、この人物が女性であるという可能性を全く考えていませんでした

見事に騙されてしまいました

他にも、たくさんの大山正紀が登場する物語であるからこそのミスリードが散りばめられています

結局誰が犯人の大山正紀で、それぞれの大山正紀がどんな思惑を持って動いていたのか、二転三転して意外な真実が導かれるのがとても面白いです

まとめ

今日は小説「同姓同名」を紹介しました

とある「大山正紀」が起こした犯罪によって苦しめられる同姓同名の大山正紀たち

どの大山正紀が犯人なのか考えながら読むとエンタメ小説として楽しめますが、同時にSNSが抱える「炎上」という闇もリアルに描いています

機会があれば読んでみてください

今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!

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