【伏線回収が楽しめる名作】小説「ハサミ男」感想

小説

こんにちは! パドルです

今日は小説「ハサミ男」を感想とともに紹介します

「ハサミ男」は、ハサミ男という連続殺人鬼に関する事件の真相を追っていく物語です

主人公である「わたし」と警察官の「磯辺」二人の視点からストーリーが展開されます

この小説は「小説 伏線」と検索すると必ずと言っていいほど名作として挙げられています

私も伏線回収が見事な作品を探している過程でこの作品に出会いました

「ハサミ男」の物語中には大きく二つの謎があるのですが、それらの謎が解決される終盤の

こんな人におすすめ

「ハサミ男」はこんな人におすすめです

  • 伏線回収が見事な作品を探している
  • ミステリーが好き
  • 素直な方

最後の素直な方におすすめというのは、こういった作品は物語の描写を素直に受け止めて読み進めるほど終盤のどんでん返しに驚かされることが多いからです

ちなみに私はこういった作品に触れすぎて、少し小説の表現を疑いながら読んでしまいました

そのせいで一部の伏線回収が楽しめませんでした…

あらすじ

ここからは、「ハサミ男」のあらすじを紹介します

世間では、少し前に「ハサミ男」というシリアルキラーが話題になっていました

二人の女子高生の首を絞め、ハサミをその首に刺していたことが「ハサミ男」という名の由来です

事件は数か月前に発生しましたが手がかりはいまだに見つかっていません

物語の主人公は「わたし」

氷室川出版という出版社にアルバイトとして勤めています

自分の外見にコンプレックスを持っており、特にやることがない週末はあらゆる手段で自分の命を絶とうとし、そのたびに失敗しています

実は「わたし」は「ハサミ男」で、次のターゲット(女子高生の樽宮由紀子)を定めて行動を監視していました

最適なタイミングをうかがうためです

その日も「わたし」は由紀子を狙って家を張り込んでいたのですが、なかなか由紀子が家に帰ってきません

不思議に思った「わたし」は近くの公園に足を運びますが、そこにはすでに亡くなった由紀子があおむけに倒れていました

しかも、遺体の首には「ハサミ男」が使っているものと同じハサミが刺さっていました

果たして、由紀子を殺害した犯人は誰なのか、そして「わたし」の正体とは…

これが「ハサミ男」のあらすじです

魅力紹介

ここからは「ハサミ男」の魅力をネタバレなしで紹介します

二つの謎

この物語には大きな謎が二つ存在します

一つ目の謎は

「樽宮由紀子は誰に殺されたのか」

二つ目の謎は

「『わたし』の正体は誰なのか」

です

この二つの謎は終盤のとあるタイミングで同時に解決されます

どちらの謎の真実が衝撃的かは人によりますが、一般的には二つ目の謎ではないでしょうか

一つ目の謎は要所要所で伏線が張られており、それが回収される場面は

「なるほどなー!」

と思わされます

今までどのような伏線が張られていたのかも丁寧に解説してくれます

反対に、二つ目の謎では伏線回収の詳しい解説はされません

しかし、その真実が示されたときには今までのイメージが覆されますので、衝撃度はこちらのほうが高いと思います

「わたし」というキャラクター

この物語の「わたし」というキャラクターはとても興味深いです

シリアルキラーであり、サイコパスなのですが、この物語では「わたし」の心理や行動原理を詳細に描いています

普段の生活で「わたし」のようなキャラクターに接することはほぼありえないので、そのような人物に触れられるのも小説ならではだと思います

また、「わたし」は自己評価が異常に低く、周りにもそう思われているだろうと思っています

外見にコンプレックスを持っていますし、たびたび自分を死に追いやろうとします

しかし、実は周囲の人間からの評価はそこまで悪くないことが終盤で明らかになります

当たり前ですが、「自分は周囲からこう思われているだろうな」と想定している自分と、実際に周囲から見られている自分は別物であることを改めて教えてくれます

ネタバレあり感想

ここからはネタバレありで感想を書いていきます

「ハサミ男」を未読の方はご注意ください

この小説はネタバレされる前に読まないと意味がないので、読了後の方のみ次をお読みください

「わたし」の正体

「わたし」の正体は美人の女性でした

正直私は「わたし」が女性であるかもしれないことは想定しながら読み進めていたので、「わたし」が女性であることがわかったときも

「まあ、そうだろうな」

という感想でした

しかし、美人であるというのはすぐには納得できませんでした

「わたし」は自分のことを「でぶ」だと認識していましたし、周囲の自分を見る目もずっとネガティブに解釈していたからです

真実がわかる前の私の中の「わたし」のイメージは、ぽっちゃり系の冴えない女性でした

しかし、物語に登場する男性が「わたし」のことを健康的な体型と評価していたときに、

「なるほどな!」

と思いました

女性が言う「太っている」と、男性の言う「太っている」にはかなりのずれがあります

モデルのようなスレンダー体型の女性よりも、ある程度肉付きが良い女性がモテることは珍しくありません

「わたし」の「でぶ」は、男性からすれば健康的で、むしろ「わたし」を一層魅力的な女性ととらえる特徴だったのです

この小説で男性と女性の見え方の違いを学ぶことになるとは思いもよりませんでした

「わたし」が美人であることを踏まえると、今まで違和感を抱いていたいくつかの描写もしっくり来て、とてもすっきりした気分になりました

被害者について

私が「ハサミ男」を読んでいて終盤までひっかかっていたことがありました

それは

「なぜ樽宮由紀子のことをこんなに掘り下げるんだろう」

ということでした

被害者である樽宮由紀子は美人な女子高生でした

また、彼女はいろんな男性に自分から声をかけてとっかえひっかえ付き合うなど、性に奔放だったことも明らかにされます

そんな描写に意味があるのか、とずっと思っていたのですが、真犯人が判明したときにそれも納得しました

真犯人は由紀子の彼氏で、動機も愛情が憎しみに変わったというありがちなものでした

しかし、その動機に納得するためには樽宮由紀子がどういう人物かということを理解しておく必要がありました

「このためにこんなに樽宮由紀子を掘り下げたのか」

と感心させられました

物語の結末

物語中に「わたし」のことを「ハサミ男」と見抜く人物は一人だけ現れます

樽宮由紀子を殺した真犯人です

しかし、彼は結局自分の頭を拳銃で打ち抜いてしまい、最終的に「わたし」が「ハサミ男」であることを知る人は誰もいなくなります

真犯人と対峙したときに「わたし」は怪我を負ってしまい、入院することになります

最後の場面は、入院している「わたし」が隣のベッドのお見舞いに来ていた女子高生に名前を尋ねるシーンで終わります

「ハサミ男」の犯行はこれからも続くかもしれないと匂わせる描写です

これからも「わたし」は「ハサミ男」として犯行を重ねるのか、それとも今回の物語中に出会った人々と関わることで変わっていくのか…

物語の続きがとても気になる終わり方です

個人的には「わたし」はこれからも「ハサミ男」としてあり続けるのではないかと思っています

「わたし」の表面的な人間関係は変わっていくかもしれませんが、芯の部分はブレそうにないからです

それほど行動と考え方に一貫性のあるキャラクターでした

まとめ

今日は小説「ハサミ男」を紹介しました

伏線回収、どんでん返しと言えばこれ!

とよくおすすめされる小説だけあって、とても読み応えがありましたし、伏線の張り方から回収まで見事な作品でした

そのような作品を読みたい方には絶対に楽しんでもらえる作品です

機会があればぜひ読んでみてください!

今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!

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