【上流階級サイコパスミステリー短編集】小説「儚い羊たちの祝宴」紹介

小説

こんにちは!

今日は最近読んだ小説「儚い羊たちの祝宴」を紹介します

米澤穂信による作品で、少し前の時代の日本の上流階級家庭で発生する事件の謎を描いた短編集になっています

物語はそれぞれ独立していますが、全編に共通して「バベルの会」という上流階級向けの読書サークルが登場します

米澤穂信は直木賞受賞作家でもあり、個人的には「氷菓」などの古典部シリーズが好きです

「儚い羊たちの祝宴」は本屋に平積みされていて、帯のあおりがこれでもかというほどこの小説のどんでん返しを強調していたので、つい買ってしまいました

読んでみたところ、

「帯のあおりはさすがに書きすぎなのでは…」

というのが率直な感想です

一つ一つの短編はたしかに仕掛けがしてあって、最後にはちゃんと読者を驚かせるとともに、絶妙な怖さを提供してくれます

帯に書かれているようなどんでん返しを期待してしまうのではなく、ちょっとした謎と恐怖を味わうスタンスで読むのがおすすめです

あらすじ

「儚い羊たちの祝宴」は短編集になっています

ここでは、最初に収録されている「身内に不幸がありまして」のあらすじを紹介します

この短編は、丹山家という貴族に仕える小間使いである、夕日という少女が主人公です

夕日は丹山家の娘である吹子の身の回りの世話をしていました

夕日は吹子のことを姉のように慕っています

あるとき、吹子は夕日に、屋敷の中に秘密の部屋を作るよう命じます

その部屋には本棚があり、屋敷の他の人たちが入る可能性がある吹子の部屋には置けない、吹子が本当に読みたい本を置くスペースになっています

吹子と秘密を共有できた夕日は夢見心地の気分になりました

夕日は掃除をするために、度々その部屋に出入りしますが、あるとき吹子に内緒で本を読み始めます

本の内容は夕日にとってとても刺激的で、夢中で読んでしまいました

本のラインナップは都度入れ替わり、新しい本が配荷されると夕日もその本を読んでいました

丹山家には吹子の兄にあたる宗太もいるのですが、あるとき屋敷内で事件を起こして失踪してしまいます

宗太は屋敷の使用人たちを次々と殺しまわったのですが、吹子に右手首を斬られてしまい、失踪したのでした

それから1年後、今度は吹子の叔母が殺害されてしまいました

叔母の右手首が斬り落とされていたことから、宗太が復讐のために戻ってきたのではと憶測が流れます

また1年後の同じ時期、また屋敷内で吹子の親戚が殺されているのが発見されました

1年おきに起こる事件に屋敷内は恐怖に包まれますが、夕日は

「もしかしたら自分が殺しているのかもしれない…」

と思い始めます

というのも、吹子の秘密の書庫で読んだ本に、本人が眠ってしまっている間に気付かず行動してしまう人物が描かれており、その特徴が夕日自身にも当てはまっている気がしたのです

「お嬢様は自分が夢遊病であることを示唆するためにわざとそのような本を置いたのでは…」

と夕日は自分に対する疑いを強めます

はたして、一連の事件はどのようにして発生したのでしょうか

ネタバレあり感想

ここからはネタバレありで感想を書いていきます

小説未読の方はご注意ください

サイコパスたちの饗宴

この小説には、各章に少なくとも一人ずつ、サイコパスが登場します

彼女たちは

「え、そんなことで…?」

という理由で尋常ではない行動をとります

最初の章である「身内に不幸がありまして」に登場する吹子は、「バベルの会」の夏合宿に行かない合理的な理由をつくるために、一年おきに親戚を殺していました

吹子は夕日と同じように寝ている間に自分が人を殺してしまうかもしれないという悩みがありました

「バベルの会」の合宿に参加して、自分がとんでもないことをしでかしてしまうのを防ぎたかったのです

身内に不幸があれば、夏合宿を欠席するのも致し方ありませんよね

その不幸を、吹子は自らの手で引き起こしていたのでした

次に「山荘秘聞」という章に登場する守子

彼女も辰野家という上流階級に仕える身で、人里離れた別荘の管理を任されていました

管理を任されて一年、毎日別荘の掃除をしていつでも客を迎えられる状態にしていたのですが、一向に誰も訪れません

そんなとき、守子は遭難者を発見します

彼はとある大学の山岳部で、滑落してしまったのでした

その遭難者を別荘で看病していると、山岳部と地元のボランティアで結成された救助隊が別荘を訪れます

守子が看病している彼を探しに来たのでした

しかし、守子は看病していることを知らせず、救助隊に別荘を捜索の拠点とするよう提案します

別荘にはたくさんの人が出入りすることになりました

なぜ守子は遭難者を看病していることを言わなかったのか?

それは、別荘に人を迎えている状況を可能な限り続けるため、でした

しかも、遭難者が別荘の近くにいるかもしれないことを演出するため、守子は別荘の周辺に遭難者の持ち物を落としたり、足跡をつけたりしていました

そこまでして別荘に人が滞在している状況を作り上げたかったのです

守子の行いは別荘の手伝いに来ていた女性にバレてしまうのですが、守子はその人物を亡き者にしてしまいます

最終的には、看病していた遭難者も手をかけます

サイコパス度高めですよね

このように、「儚い羊たちの祝宴」には様々なサイコパスが登場します

それぞれ一般人とは少し離れた感覚で行動し、残酷なことも平気で行います

各章の終盤で、真実が明らかになる瞬間はどれもゾクっとさせられます

また、サイコパスであるが故に動機を直感的に理解できないこともあります

彼女たちがなぜそのような行動に出たのか、読了後に考えさせられる話も多いです

まとめ

今日は小説「儚い羊たちの祝宴」を紹介しました

どの短編にもミステリー要素がありますが、最後まで読むと真実が明らかになるとともに、ちょっとした恐怖を感じます

少し薄気味悪くなるようなテイストの物語が好きな方は楽しんで読めると思います

機会があれば読んでみてください

今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!

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