【タイムリープだからこそできる伏線回収】小説「時空犯」感想

小説

こんにちは! パドルです

今日は最近読んだ小説「時空犯」を紹介します

この物語はタイムリープミステリーです

とある一日が千回近く繰り返される途中で殺人事件が発生してしまいます

主人公の探偵である姫崎と仲間たちはタイムリープが発生する原因と犯人を明らかにしようと四苦八苦します

タイムリープという現象もそうなのですが、物語中に登場する概念やセリフ回しが少し難しいです

SFに慣れている方であれば難なく読みこなせると思います

物語終盤で姫崎が犯人を明らかにするのですが、その方法が

タイムリープという現象を見事に利用していてとても感心しました

また、タイムリープが発生している原因も現代の科学をとっかかりにして説明されており、なるほどなと思わされました

こんな人におすすめ

「時空犯」はこんな人におすすめです

  • SF好き
  • 伏線をきれいに回収してくれる作品が好き
  • タイムリープものが好き

それぞれのポイントについて具体的に書いていきます

SF好き

物語の途中には難解な概念がいくつか登場します

姫崎は北神博士という天才がつくった飲み物を飲むことでタイムリープができるようになります

その北神博士がタイムリープのことやなぜタイムリープが起きているのかなどの仮説を話してくれるのですが、内容が難しいです

言葉のチョイスや言い回しが科学者のそれなので、博士が話しているセリフときはあたかも論文を読んでいるような気分になります

SFをよく読み、そういう科学的な言い回しに慣れている人であればすんなり内容が入ってくるのでしょうが、私には少し読み下す時間が必要でした

物語中に科学の素人である大岩というおばちゃんキャラが登場し、難しい話をわかりやすくしてくれと登場人物たちにお願いする場面が何回も登場します

このとき登場人物たちはわかりやすく解説してくれ、大岩も理解します

しかし設定上大岩は頭が良いため、私がついていけない説明でも理解してしまいます

今後はもう少しSFに触れて難しい言い回しをすんなり受け止められるようになりたいなと思いました

また、中盤に超展開があるのですが、SFに慣れていない方だと少し受け入れづらいかもしれません

伏線をきれいに回収してくれる作品が好き

「時空犯」はタイムリープもののミステリーです

タイムリープが発生しても普通の人間はそれを認識できませんが、

北神博士は幼少のころのとあるきっかけで時間が繰り返すことを認識できるようになります

博士は2018年6月1日が979回繰り返されたことを受け、自分以外の人たちにも協力を得ようと考えました

しかし、北神博士が姫崎を含めた8人にタイムリープできる能力を与えた次のループで、博士は何者かに殺されてしまいます

そしてさらに次のループではまた別の人物が…

私はタイムリープができるのであればすぐに犯人を特定できるのではないかと考えていたのですが、なぜか誰も犯人の顔を覚えていません

なぜ覚えていないのか、その理由は実は物語冒頭で何気なく描写されていたのでした

その事実が明らかになったとき

「だからあのときあんな描写があったのか!」

と驚かされました

タイムリープものが好き

タイムリープはこの物語のメイン要素です

同じ一日を何度も繰り返すことで真実に近づいていきます

冒頭にも書きましたが、「時空犯」はタイムリープという現象をとてもうまく使って犯人を明らかにしていきます

その手法に私は脱帽しました

逆に言うと、タイムリープという特殊な状況でなければ犯人はあぶり出せなかったかもしれません

私はタイムリープものが好きで小説、映画、アニメ、ゲームなどでかなり触れているのですが、タイムリープという現象自体を逆手に取ることで物語の真実を明らかにする手法は初めてでした

ネタバレあり感想

ここからはネタバレありで感想を書いていきます

「時空犯」未読の方はご注意ください

至るところにまかれた伏線

「時空犯」ではいたるところに伏線がまかれています

私が一番驚いたのは、相貌失認です

相貌失認とは個人の顔の区別がつかなくなってしまう症状のことで、最初は北神博士の前任者の研究テーマとして紹介されます

その相貌失認が、犯人の正体を隠すことに一役買っていました

犯人は強制的に相貌失認を発生させる薬を使うことで、繰り返しのタイムリープを経ても自分の顔を誰にも認識させていませんでした

私は相貌失認の話が登場したときは

「ふーん」

程度にしか思っていなかったので、まさかここまで物語の重要な要素になるとは予想できませんでした

そして、姫崎が犯人を見つけるために取った方法にも感心しました

その方法とは、消去法です

普通のミステリーでも消去法は使われますが、今回はタイムリープという状況ならではの消去法でした

具体的には、

「1000回近く繰り返された一日の中で、とある時間帯に1000回中一度でもアリバイが確認された人物は犯人ではない」

というロジックで犯人を見つけ出したのです

私は

「なるほどな!」

と思うと同時に、繰り返されてきた一日の描写は犯人以外の登場人物のアリバイ証明にもなっていたことに気づき、その無駄のない物語構成に興奮しました

その他にも、ヒロインである麻緒の何気ない一言が犯人に近づくヒントになっていたりと、読み返すとまだまだ気づく伏線がまかれているかもしれません

まとめ

今回は小説「時空犯」を紹介しました

タイムリープミステリーで、タイムリープという状況ならではの方法で真実を明らかにしていきます

タイムリープもの好き、ミステリー好きの方には特に面白く読んでもらえると思います

機会があればご一読ください

今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!

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