【伏線回収続きの一週間】小説「タイムリープ あしたはきのう」紹介

小説

こんにちは! パドルです

今日は最近読んだ小説「タイムリープ あしたはきのう」を紹介します

高畑京一郎による作品で、タイムリープものの名作として知られています

主人公の女子高校生がある日タイムリープの能力を得てしまい、クラスメイトの男子生徒の助けを借りながら、自分に何が起こってしまったのかを明らかにしていく物語です

物語中では主人公である翔香が一週間を穴埋めするように行き来します

最初は月曜日だと思っていたらいきなり火曜日で、そこから木曜日に跳んで…

といったことを繰り返すので、頭の中で時系列を整理するのが少し大変です

しかし、最終的には一週間がきれいにまとめられて、すっきり終わります

こんな人におすすめ

「タイムリープ あしたはきのう」はこんな人におすすめです

  • タイムリープものが好き
  • 学生が主人公の話が好き
  • オチがしっかりしている作品が好き

あらすじ

ここからは簡単にあらすじを紹介します

主人公は女子高校生の翔香

翔香は気づくと、クラスメイトとキスをしていました

そのクラスメイトとは、若松

翔香は若松に悪い印象は持っていませんでしたが、そこまで仲良くはなく、ましてやキスされるような関係ではなかったので、とっさにビンタします

翔香にビンタされた若松は少し困惑気味でしたが、翔香の様子を見て何かを察した様子です

翔香が部屋を出るときに

「頑張れよ」

と声を掛けてきました

「頑張れよ…?」

と思う翔香でしたが、部屋を出ると見知らぬ廊下でした

そのまま進んで階段を降りようとしたとき、翔香は階段をすべり落ちてしまいました

そして気が付くと、自分の部屋で目覚めました

「もしかして、夢…?」

いつものように学校に向かって一時間目の授業が始まったとき、翔香は異変に気付きます

今日は月曜日のはずなのに、なぜか火曜日の科目の先生が現れたのです

混乱し動揺する翔香でしたが、周囲のクラスメイトに訊いても今日は火曜日だと言われます

自分には記憶がなくて昨日は休んでいたのかもしれないと思った翔香はそのことを尋ねますが、翔香はちゃんと登校していたようです

下校時間になっても状況を理解できない翔香は、家に帰って日記帳を見てみることにしました

そこには月曜日に翔香の字で数行の文章が書かれていました

もちろん翔香には記憶がありません

「あなたは今混乱している。この状況を解決するには、若松君を頼ること。彼は無愛想だけど悪い人間ではない。」

という主旨でした

書いた記憶はないものの、自分の筆跡であることは間違いなさそうだったので、翌日翔香は若松に助けを求めることにしました

話を聞いた若松でしたが、翔香の言うことを信じようとはしません

何とか信じてもらおうとする翔香でしたが、その話の途中に植木鉢が落ちてきました

危ない!

と思った瞬間、翔香は木曜日にタイムリープしていました

これがあらすじです

果たして、翔香のタイムリープ能力は何がきっかけで発現したのでしょうか?

そして、この現象を止めることができるのでしょうか?

ネタバレあり感想

ここからはネタバレありで感想を書いていきます

未読の方はご注意ください

パズルを完成させていくような爽快感

この物語は時系列がとても複雑です

最初月曜日だと思ったら火曜日で、次は水曜日の途中で木曜日に跳び、また火曜日に戻って…

というようなことを繰り返します

翔香は何か危険な目に遭うとタイムリープすることでその出来事を回避するという能力を持っています

階段から落ちたり、植木鉢が上から落ちてきたり、といった出来事がきっかけとなります

しかし、跳ぶのは意識だけです

翔香の身体は現実世界に残り続けています

ジョジョ第5部に出てきたキングクリムゾンと似てますが、少し違いますね

あれは体も一緒に跳ぶ能力でした

翔香は無意識に自分の身が安全な少し先の未来まで跳び、自分に害が及ばなかったと確信できたら元の時間にまた意識を跳ばす、というやり方で危機を潜り抜けてきました

翔香は何者かに命を狙われていたため、一週間の間に頻繁にタイムリープすることになります

飛ばした時間に自分がどんな行動をしていたのか、という謎がタイムリープする度に生まれます

若松やクラスメイトの行動がどこかおかしかったり、発言が意味深だったりするのですが、それも飛ばした時間の間に翔香自身が仕込んでいたことだったりします

このように細かい伏線が次々と回収されていくのがとても心地よいです

また、若松が翔香を救うために色々と仕込むのですが、それを翔香に教えてしまうと歴史が変わってしまうかもしれないという懸念から、翔香にはほとんど何も教えてくれません

読者も翔香と同じ立場になるので、若松から指示された行動がどこで意味を持ってくるのかをワクワクしながら待つことになります

さらに、若松が仕込んだことにイレギュラーな事象が発生する場面も出てきて、それに対して翔香と若松がどのように対応していくのかも見どころです

ちなみに「タイムリープ あしたはきのう」では時間軸は一つしか存在しないという設定になっています

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「サマータイムマシンブルース」と同じ考え方ですね

そのため、過去に自分がやった行動から少しでもずれると歴史が変わってしまうのでは、という懸念が常に存在しており、緊張感をもって物語を楽しむことができます

最初の夢

この物語は翔香が最初は夢だと思っていたシーンが、実は現実のものだったということが最後に判明して終わります

最初のシーンが最後のシーンでもある、映画「メメント」みたいでおしゃれな演出ですよね

しかし、ここで私は疑問に思いました

それは

「最初のシーンの翔香はどこから跳んできたんだろう…?」

ということです

最初のシーンは事件が全て解決した後の土曜日の出来事だと最後に判明するのですが、最初のシーンの翔香は、自分がタイムリープしてきたことを認識していません

物語はそのシーンから始まるので、おそらく翔香のタイムリープ能力が発現した直後なのかもしれませんが、そのきっかけとなる出来事は土曜日の6日前の日曜日に発生しています

つまり、一週間弱タイムリープしてきたことになります

翔香は危険な目に遭うと、自分の身の安全が保証されているタイミングまでタイムリープしますが、それにしたって一週間弱は跳びすぎな気もします

他のタイムリープではせいぜい一日飛ばしくらいが最長でした

この謎に対する明確な回答は示されていないのですが、個人的には、

「精神的にとても辛い出来事があった反動で、直近で精神的に一番幸せだった瞬間に跳んだのでは」

と考えています

翔香は道端で見知らぬ男に襲われて押し倒されるという出来事がきっかけで能力に目覚めました

そのときの精神的にダメージはかなりのものだったと思います

そのショックとバランスを取るために、好きな人とキスをするという幸せな瞬間まで無意識に跳んだのではないでしょうか

正解はないので、読んだ方が自由に考えてもらいたいです

まとめ

今日は小説「タイムリープ あしたはきのう」を紹介しました

タイムリープものが好きな方にはぜひ読んでいただきたい作品ですし、パズルのように時系列の空白を埋めていく様は読んでいてとても爽快です

機会があれば読んでみてください

今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!

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