こんにちは!
今日は最近読んだ小説「あの日、君は何をした」を紹介します
まさきとしかによる作品で、本屋で平積みされているのを見つけました
手に取って帯を見てみると、伏線回収も織り交ぜながら衝撃的な展開が待っているようなことが書いてありました
私好みの小説だと思ったので読んでみることにしました
この物語は第一部と第二部に分かれています
第一部は2004年、第二部は2019年の話です
第一部と第二部ではそれぞれ別の家族に事件が発生し、途中までは何の関係もないように思えます
しかし、終盤になると思いがけないつながりを見せ始めます
こんな人におすすめ
「あの日、君は何をした」はこんな人におすすめです
- 人間が狂気にいたる過程に興味がある
- 家族を描いた作品が好き
- 「え、まさか…?」という驚きを味わいたい
あらすじ
簡単にあらすじを紹介します
物語は二部構成です
第一部の舞台は2004年、場所は北関東の前林市です
水野家は前林市に住む4人家族で、その日は娘の大学合格と、息子の高校合格を兼ねたお祝いをしていました
巷ではとある殺人鬼が警察署から脱走したことが話題になっており、どうやら前林市に潜んでいる可能性があるようです
しかし、母のいづみにとっては、殺人鬼の潜伏などただのニュースに過ぎませんでした
なんせ今日は家族にとって幸せな日だからです
お祝いの食事とケーキを食べながら、家族が他愛のない会話を繰り広げているのを見て、いづみはとても幸せを感じました
食事を終えると、息子の大樹は自分の部屋に戻っていきました
いづみは片づけを終え、そろそろ寝ようかなと思っているとき、家の外で何かの鍵が開くような音を聞いた気がします
そのときは特に気にせず眠ってしまったいづみですが、翌日目が覚めると、彼女の幸せな日々は終わっていました
大樹が翌日死体で見つかったのです
大樹は夜中に自転車に乗っていたところを警察官に呼び止められましたが、職務質問に応じることなく逃げ出しました
警察官の追跡を振り切ろうとした結果、大樹はトラックとぶつかり、亡くなってしまったのです
警察官は大樹の姿を見て逃走中の殺人鬼の可能性があると思って声をかけたのですが、人違いでした
しかも、当の殺人鬼は大樹が亡くなった翌日に女性を切りつける事件を起こしています
このことはテレビのワイドショーで取り上げられ、世間の目に触れることになります
世間には大樹が警察から逃げたことが殺人鬼の逃走を助ける原因となったという、頭のおかしいことを言う人が一定数現れます
そこにどうしようもないマスコミも便乗し、水野家に押しかけ、いづみたちの罪悪感を問うようなインタビューをし始めます
大樹に対する世間からのバッシングは強烈でした
いづみは息子が何も悪くないと信じており、息子の汚名を返上しようとします
しかし協力してくれる人が現れず、徐々に平静を保てなくなってしまいます
大樹はなぜ警察から逃げようとしたのでしょうか?
そして、いづみはどうなってしまうのでしょうか?
ネタバレあり感想
ここからはネタバレありで感想を書いていきます
小説未読の方はご注意ください
家族を喪った哀しみの果てに
第二部では物語の語り手も変わって、新たな事件が発生します
とあるOLが殺害され、重要参考人の男性が行方不明になった事件の真相を追う展開になるのですが、中盤までは第一部と全く関係がなさそうに話が進行します
私も
「あれ? 第一部の話ってなんだったの…?」
と思いながら読み進めていたのですが、最終的にはひとつにつながります
いったいどんな風につながるのか期待しながらストーリーを追っていましたが、まさか第一部に登場したいづみが事件の犯人だったとは…
この展開はかなり衝撃的でした
そしてさらに衝撃的だったのはその動機です
一言でいうと、意味がわかりませんでした
行方不明になった重要参考人の男性は結婚しており、小さい息子もいました
いづみはその小さい息子を、自分が亡くした息子だと思い込み、なんやかんやあってOLと重要参考人を殺害したのです
いづみの思考回路が私の理解の範疇を超えていて、どのような経緯だったか上手く説明できないのがもどかしいです
いづみは息子を喪った哀しみが強すぎて一時は廃人同然になりました
その状態のときにある人から輪廻転生の考え方を聞き、息子は肉体を失ったものの魂は生き続け、肉体もいつか生まれ変わる、という考え方に縋るようになります
また、ひょんなことから息子が重要参考人の妻と同級生で、仲が良かったことを知り、彼女の子供が自分の息子の生まれ変わりであることを確信します
その子を手に入れるため、犯行に及んだのです
いづみの犯行動機が明らかになったとき、私は
「愛する家族の突然死は、人間をここまで狂わせてしまうものなのか…」
と動揺してしまいました
いずみは哀しみが大きすぎて、通常の精神状態では到底信じられない現象を信じてしまったのでしょう
輪廻転生という考え方に縋るしか生きていく術を見いだせなかったいづみは、本当に不幸だと思います
家族も最初はいづみのことを気にかけていましたが、精神が不安定になってしまったいづみはそんな家族を罵倒することしかできませんでした
結果、家族はいづみから離れていき、いづみの凶行を止められる人は誰もいなくなってしまいました
自分も身近な人が突然亡くなってしまったときに、いづみのようにならないためにはどうしたら良いのか、と考えてしまいました
どんな状況になっても自分の精神が崩壊しないように、自分のメンタルを改善するテクニックをいくつか持っていくことが大切だと思います
また、このような物語に触れて登場人物の心情を感じ、感情の疑似体験をしておくことも役に立つのではないかと思います
まとめ
今日は小説「あの日、君は何をした」を紹介しました
第一部と第二部のつながりが明らかになったとき、あなたに衝撃が訪れます
ミステリーとして面白い構成になっており、同時に愛する者を喪った登場人物の深い心理描写も見事です
機会があれば読んでみてください
今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
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