こんにちは!
今日は最近読んだ小説「どちらかが彼女を殺した」を紹介します
東野圭吾による作品で、「新参者」というドラマにもなった作品で有名な加賀恭一郎という刑事が登場するシリーズです
タイトルのとおり、容疑者は二人います
加賀と被害者の兄である康正が、妹が亡くなった事件の真相を追うストーリーです
この小説の特徴なのですが、物語の最後まで二人の容疑者のうちどちらが犯人か明示されることはありません
そのため、読者は自分で犯人を見つける必要があります
こんな人におすすめ
「どちらかが彼女を殺した」はこんな人におすすめです
- 自分で犯人当てをしたい
- 細かい描写に気が付く
- シンプルな事件が好み
あらすじ
康正と園子は二人兄妹です
康正は地元の愛知県警で働き、園子は東京の会社に勤めています
ある金曜日の夜、園子が康正に電話してきます
ちなみに、舞台は1990年代前半の日本ですので、携帯電話はまだ普及していません
電話口で園子は、
「お兄ちゃん以外誰も信じられなくなっちゃった…」
と口にします
園子の様子が心配になった康正は、土日に帰省するように園子に言います
園子は帰ると言いましたが、結局帰ってきませんでした
康正は週明けの月曜日、園子の家に様子を見に行きます
部屋の前に着いた康正はインターホンを鳴らしますが、反応がありません
康正が合鍵を使って中に入り、寝室に足を踏み入れると、そこには横たわった園子の姿がありました
息をしておらず、胸と背中には電気コードが貼られており、タイマーがセットされていました
時間になると電流が流れて死に至る装置のようです
この状況だけでは自殺とも他殺とも判断がつきません
康正は部屋の中をくまなく調べ周りました
そして、あらゆる証拠から園子が殺害されたことを確信します
また、冷蔵庫に貼ってあった電話番号のメモから、「佳代子」と「J」という人物の存在を確認します
佳代子とは弓場佳代子のことで、園子と高校時代からの親友です
康正も面識があります
しかし、「J」については心あたりがありません
康正は佳代子とJを調べることにしましたが、ある目的のため園子が他殺された証拠を隠滅します
その後警察に通報し、加賀が登場します
康正が証拠隠滅した関係で、警察は自殺の方向で操作を進めますが、加賀だけは自殺に疑問を持ち始めます
康正自身も佳代子とJ(佃潤一)に接触し、二人のどちらかが園子を殺したことを確信します
果たして、園子はどちらに殺されたのでしょうか?
ネタバレあり感想
ここからはネタバレありで感想を書いていきます
未読の方はご注意ください
どちらが殺した?
最終的に康正と加賀は園子を殺した犯人を突き止めます
しかし、それが誰なのか読者には明示されません
自分で推理する必要があるのですが、果たしていったいどちらなのか?
私は、佃潤一が犯人だと思います
一度読み通しただけではわからなかったのですが、気になるところを読み返して自分なりに推理しました
ちなみに、小説本編の後ろに袋とじの推理の手引きが付いているのですが、私はそれを読んでいません
なので、もしかしたら推理が外れている可能性もあります
康正の発言
犯人を推理する上でポイントとなるのは、康正の発言です
康正はどちらが犯人かを確信したあと、薔薇の柄がプリントされたゴミ箱を探し始めます
それが加賀の横にあると気づき、加賀にゴミ箱の中身を見せるように頼みます
しかし中身は加賀によって回収済みで、空でした
では、そのゴミ箱には何が入っていたのか?
佳代子が睡眠薬を飲んだときに破った袋です
この袋がなんの役に立つのかというと、袋の破り方によって
「佳代子の利き手」
がわかります
右利きの人と左利きの人では、袋を破ったときに微妙に破れ方が変わりますよね
康正と加賀は、犯人が右利きだと確信していました
園子が左利きでしたが、右利きの人物による痕跡も現場に残っていたため、その人物が犯人だろうと二人は考えたのです
潤一は明らかに右利きで、物語中も彼が右手を使って何かをするシーンがいくつか描かれています
佳代子の利き手に関して直接的な描写はないのですが、康正が袋の破り方から犯人を確定できたことを踏まえると、佳代子が実は左利きであると判断できます
その他の描写
佳代子は園子の葬儀に訪れたときに右手で筆ペンを持って綺麗な楷書で記名するシーンがあり、普通に考えると右利きに思えます
しかし、おそらく字の書くときに右手を使うよう教育されたためです
物語中でも利き手の矯正の話は出てくるので、佳代子にもそのような事情があったのでしょう
また、康正が葬儀に訪れた佳代子と話す際に、飲みものを手渡すシーンがあります
そのとき康正は右手を使っており、佳代子はそれを自然に受け取っています
受け取るときに佳代子は左手を使ってのではないでしょうか
相手と正面に立っていた場合、右手で渡されたものを受け取るなら左手を出した方が近いですよね
そして、このようなとっさの瞬間に出る手は概して利き手であることが多いです
このような描写も、佳代子が実は左利きであることを仄めかしていたのではないかと思います
まとめ
今日は小説「どちらかが彼女を殺した」を紹介しました
二人のうちどちらが犯人なのか?
最後まで直接的に言及されることはないので、自分で推理して犯人を当てたい人にとてもおすすめの作品です
機会があれば読んでみてください
今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
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